『R100』のSMプレイを恋愛に活かすには
賛否両論ある、松本人志監督の『R100』を観てきました。
これはSMをテーマとした作品で、私の目から見ると、恋愛のヒントも散りばめられていました。
検索して出てきたオフィシャルっぽいあらすじはこんな感じです。
<あらすじ>
男(大森南朋)は誘惑に負け、1年という期限付きでミステリアスなクラブへの入会を決意する。入会の際の条件は、たとえ何があろうとも途中で退会することはできないという内容だったが、当初彼はそのことをまったく気にも留めていなかった。その後、彼の人生には次々と型破りで魅力的なキャラクターの女性たちが出現するようになり……。
ここから感想を書いていくので、恋愛の話を早く…という方や、ネタバレを避けたい方は、一番下までスクロールしてください。
『大日本人』『しんぼる』『さや侍』と、公開初日くらいに観に行った、隠れ松本人志監督ファンの僕ですが、
『R100』は、公開から二週間くらい間を置いていました。
理由は忙しかったのと、松本監督が主演じゃないのと、登場人物をそこまで好きじゃなかった(昔サトエリ好きだったくらい)ということ。
すると、
その二週間の間に、ツイッターで、ブログで、Yahoo!ニュースで、色々な悪評が入ってきました。
まあYahoo!ニュースの動員数がどうのこうのっていう話は、面白さとは関係ないのでどうでもいいのですが、
ツイッターやブログでは
「松本人志は好きだし、映画も三作とも観たが、今回のは酷かった」
などの発言を複数目にしたので、いよいよ松本監督終わってしまったのかと思っていましたが…
全然面白かったです。
※以下ネタバレあり※
【総論1】ビジュアルバムみたいな世界
『大日本人』の「腰には広告絶対つけんで」と言いながら結局広告つける
とか、
『しんぼる』の「おならくさーい!」
みたいなベタなボケがなくて、全てが松本人志ワールドという感じがしました。レベルの高い笑いしかやらないという。ずっとこのままでいてほしいです。
【総論2】四作目なのに実験的
ビジュアル系バンドが、メジャーになるときにメイクを薄くして服装をカジュアルにするように、
猟奇的なノアール的な小説で売れた作家が、恋愛小説を書いたり、
まあだんだんとポップに、大衆的になっていくものだと思います。
『今さら聞けない本当の恋愛入門』というかなり攻めている本が評価されている私でも、
「『美女ナンパ突撃ルポやってみたらこうだった』のほうが攻めてて面白かった」と言われることもあります。
結局、一作目というのは、そのバンド・作家・監督の実績もないので、まずは当たって砕けろで作るので、個性的になったり、過剰にエネルギーを詰め込みすぎなものになると思うのですが、二作目からは、市場を意識して、よくも悪くも計算されたものが作られるのです。(それでも『今さら聞けない本当の恋愛入門』は面白いですが)
ところが松本監督は、四作目にして、インディーズビジュアル系バンドのような作品をブチ込んできました。そこに痺れて憧れます。
【各論1】ツカミ
タバコを奥まで咥えて深く吸って、客の飲みかけのコーヒーを灰皿代わりにぶちこむ女。バイオレンスです。ロバート・ロドリゲスが監督で、タランティーノがスペシャル監督をやった『シン・シティ』のような世界観を彷彿とさせます。この後主人公が蹴られ、階段から叩き落されることで、なんとなく何が起こってるかわかります。
【各論2】クラブ
松尾スズキの怪しい店長役がハマっています。SMの女王が、フィギュアのように配置されていたのがかっこよかったです。
【各論3】寿司
主人公が食べようとする寿司を、サトエリの女王様がいちいち叩き潰すというシーンがあります。これは、ご自分が昔撮ったビジュアルバムの『寿司』のセルフサンプリングです。ただここは、もう一組のカップルに「旅行行きたいけどペット預けるとこがない」みたいな会話させてほしかったです。元ネタはその会話も面白かったので。ご自分サンプリングされるなら、そこまでしてほしかったです。けど普通にエロくて面白かったですが。
【各論4】電車
アットホームなドラマのようなシーン。踏切を電車が横切って主人公が見えなくなる…みたいなのもよくあるカット。しかし、電車が去った後、主人公が女王様にボコボコに蹴られてるのがわかります。ギャップがおもろいです。
【各論5】トイレ
女王様の出没地がエスカレート。ついに主人公の会社にまで侵入してきます。「会社には来ないでくれ。誰かに見られたらどうするんだ」という主人公を、女王様は男子トイレでしばきまくります。フィニッシュを迎える主人公ですが…そこに大便のほうから上司が出てきます。全部聞かれていたという。結構ベタですが、どっちもセリフを言うとかはなく、いいベタさでした。
【各論6】ベッド売り場
ベッド売り場で添い寝を強要していた男性客が、いきなりベッドの隙間に落ちます。そこに主人公が近づくと、自分もベッドの隙間に連れ込まれます。そして、実はSMクラブが、危険な団体であることが告げられるのですが、ベッドの隙間から頭だけ出して、不審な話をしているのを、また上司に見られてしまいます。ベタですが、いい感じのベタです。
【各論7】渡辺直美
いよいよ主人公の家に、女王たちが入ってきます。その一人が渡辺直美です。渡辺直美は「唾液の女王」で、主人公に唾液を吐きかけます。縛られている主人公に、どれくらい離れて唾液を飛ばせるか、自分への挑戦のようなことをやり、体を大きくのけぞらせるのを反動にして、距離を飛ばします。三度目ののけぞりがのけぞりすぎ、二階の手すりを破壊し、一階に落ち、即死します。一番爆笑しました。
【各論8】丸のみの女王
主人公の奥さんは、植物人間状態なのですが、植物人間状態なのにも関わらず、丸のみの女王に丸のみされてしまいました。容赦ないですが、ある意味差別がないというか、真の平等という感じがしました。
【各論9】CEO
SMクラブのCEOが訪日しますが、とんでもない巨大外人女です。「ファッキン片山」とかなんとか言いながら、プールにばっしゃんばっしゃん飛び込みます。ガキ使の「板尾の嫁」や「ボブサップ7変化」のような、外人芸でした。
【各論10】手りゅう弾
クライマックスは、大量のクラブボンテージ女王様軍団が襲い掛かってきます。先ほどは『シン・シティ』と言いましたが、この光景はどこか『キル・ビル』を彷彿とさせます。それに対し、主人公は手りゅう弾で応戦します。『太陽を盗んだ男』もそうだし色んな映画に出てきて、たけし映画では超必殺技クラスの威力の「手榴弾」ですが、「投げすぎて肩痛い」ってムーブをやったのは松本人志監督が初だと思います。
というのが、映画の面白さですが、それと同時に、平行して、この映画は「SM」を取り上げています。
そこに、恋愛のヒントがあります。
それはどういうことかというと